厄年とは?お祓い方法やすべきこととすべきでないことを解説

この記事を書いた人

寺院に詳しい Keyさん

日本文化大好き。大学の卒論は安倍晴明。
元々両親が昔ながらのしきたりを重んじるタイプで、毎朝水神様やご先祖様に水とお茶を供えたり、塩を盛ったりするところから一日をスタートさせる家庭で育つ。
コロナで人が少ないうちにと、2020年には京都内の神社・仏閣を巡りまくる。結果、2020年の一年で御朱印帳が一気に三冊増加。

生きていくうちに、私たちは必ず「厄年」と呼ばれる年齢を迎えます。
「悪いことが起こる」と言われたら、心配になるのは、当然の人間心理です。

「厄年には、本当に悪いことが起こるのだろうか。」
「厄年を迎えた知り合いが、何だか大変そうなことになっている。」
「厄年は何をすればいいんだろうか。」

そんな不安や疑問を抱えていらっしゃる方も多いでしょう。

Keyさん

突然ですが、筆者は現在41歳です。
女性の39歳の厄の時には、個人的に恋愛でも仕事でも実際に辛い経験をしました。
今思えば、軽い鬱状態になっていたと思います。

この記事では、そんな自身の実体験から厄年にやっておけばよかったと感じていることも踏まえ、以下の疑問を解消していきます。

  1. 厄年って何?
  2. 厄年のお祓い方法
  3. 厄年にやるべきこととやらないほうがいいことって?

厄年って何?

厄年ってどんな年?

厄年は、人生の節目で厄難にあうことが多く、できるだけ忌み慎しむ年、とされています。

Keyさん

悪いことが起こらないように、身を清めて穢れを避け、言動を慎みましょう、という年ですね。

厄年って何歳?男女違うって本当?数え年とは?

厄年は、男女によって年齢が異なります。

男性 女性
25歳・42歳(大厄)・61歳 19歳・33歳(大厄)・37歳・61歳

更には前厄・後厄というものがあるため、女性の30代は、32歳~34歳、36歳~38歳が厄年になります。31歳・35歳・39歳の三年間を除き、ずっと厄年という大変な年代です。

ただ神社仏閣によって、厄年が違うこともあるので注意してください。

お祓いなどをお願いしたい場合には、神社、もしくはお寺に直接確認をしたほうがいいでしょう。
実際に訪れる機会があれば、たいてい敷地内にその年の厄年が書かれたボードが置いてあります。

厄年は、通常私たちが用いている【満年齢】ではなく、【数え年】で年齢を考えます。

数え年というのは、誕生日で一つ年をとるのではなく、新しい年(お正月)を迎えると一つ年をとるという昔の年齢の数え方です。

満年齢 数え年
誕生(0歳)→最初の誕生日(1歳) 誕生(1歳)→最初のお正月(2歳)

もともとお正月というのは歳神様をお迎えする神事でした。

お正月には、鏡餅を「供えます」。
「誰に」供えるかというと、この「歳神様」へのお供えです。

「お年玉」の「玉」は、「たましい」の「玉」だという説があります。
現在のお年玉はお金ですが、元々はこの歳神様にお供えした「お餅」をいただくことで、歳神様の「たましい」を分けてもらうと考えられていました。

Keyさん

歳神様の「たましい」をいただいて、お正月に皆一つ、歳をとるというわけです。

満年齢から数え年を計算する方法は、下記の通り。

誕生日前 誕生日後
満年齢+2 満年齢+1

それでも、計算があっているかどうか心配な人は、直接神社仏閣で確認するのが間違いありません。

厄年のお祓い方法

厄年には、「厄払い」を行う慣習があります。
行ってみたいけれど、今まで一度もお祓いをしたことがないという方もいらっしゃるでしょう。

筆者の家は、比較的、古くからの慣例にうるさい家だったこともあり、自身も19の厄の時には、前厄・後厄含め、お祓いをしてもらった経験があります。
自身の経験も交えつつ、ご説明します。

いつ行くべきなの?

厄年にあたる年の1月1日から節分までに厄払いを済ませるといい、と言われています。

けれど、必ずしも節分までに済ませなくともいいというのが現状で、たいていの寺社で通年を通して祈祷してくださいます。

筆者自身、厄年のお祓いを2月3日までに済ませた記憶がありません。
春頃だったり、秋頃だったり、毎回季節も異なりましたが、その都度、神社はこころよくお祓いを執り行ってくださいました。

悪いことが続いたから、お祓いをしておこう。
気持ちが落ち着かないから、祈祷してもらおう。

など、ご自身が行こうと思ったタイミングで大丈夫です。

Keyさん

敢えて大安吉日を選んで詣でる方もいます。

どこでできる?

ここでは、「お祓い」とタイトルを銘打っていますが、厳密に言うと「厄払い」と「厄除け」があります。

厄払い 厄除け
神社で、行われる。
今、抱えている厄災を祓う。
お寺で行われる。
悪いものが近づかないよう予防する。

もともと地元でお世話になっている、何らかの所縁がある神社やお寺などがあるという方は、そこで「厄」に対処していただきましょう。

縁ある寺社がない方は、ご自身がお願いしてみたい所や、厄払い・厄除けで有名な神社仏閣をネットなどで調べて決めてください。全く問題ありません。

金額って決まってるの?

金額は、お願いする神社やお寺によって異なります。

3,000円、7,000円、10,000円と場所によって様々ですが、5,000円という額をよく見ます。

Keyさん

「お気持ちで結構です」というスタンスで、明確な額が決まっていない所もありますが、そういった場合にも5,000円が相場のようです。

料金をお納めする際には、新札を準備しておくのがよいとされているので、事前確認が必要です。
また、のし袋か白い封筒にお金を入れて、お渡しすることになりますが、神社かお寺によって、表書きに記入する名目が異なります。

神社 お寺
初穂料 / 玉串料 御祈祷料 / お布施

記入した名目の下に、祈祷をお願いする方の名前をフルネームで書きましょう。

中袋がある場合には、表に金額を、裏面に住所と祈祷を受けられる方の氏名を書きます。

服装は?

通常であれば、神社やお寺に参るのに、改まった格好である必要はなく、ジーンズなどのカジュアルな服装で問題ありません。

ただ、厄払い・厄除けと言った何か目的があって社殿に上がって祈祷をお願いするような場合には、それなりにフォーマルな服を選びましょう。

男性であれば、少なくともネクタイにスーツ。女性はスーツ、あるいは華美にならないワンピースなどです。

Keyさん

私自身は、19の前厄に親に初めて厄払いに連れて行かれました。

親から特に何も言われなかったこともあり、日頃と同じ服装で行ったのですが…。

その際、祈祷に見えていた他の方たちが皆、スーツやきれいめのワンピースなど、改まった恰好でいらっしゃったので、かなり気後れした記憶があります。

厄年でやるべきことと、やらないほうがいいことは?

①結婚・出産

厄年には結婚や出産は避けたほうがいいと耳にします。

近年では、晩婚化が進み、20代前半で結婚する人の割合が昔に比べて少なくなりました。
結果として、結婚・出産というライフイベントが厄年と重なる人が増加しているのが現状でしょう。

Keyさん

ただ、本当に結婚・出産に関して、ダメかというと実際には地方差や年代差などもあり、厄年には結婚・出産をしたほうがいいとする地域もあります。
私は以前、御年73歳の母から女は厄年に出産するのがいいと聞きました。

一部では、出産により一緒に体の中に溜まった色々なものが体外に排出されるので、厄年に出産するのはいいことだと言われています。

②家を建てる・引っ越し

「家を建てる」という行為は、家を「新しくする」という行為です。そのため、厄年に家を建てるのはいいとされてきました。

女は子を生むのがいいというのと併せ、男は厄年に家を建てるのがいいと、同じく母から聞いたことがあります。

一方で、引っ越しは家を「変える」と言い換えられます。「変える」は、「返る」と同じ音であることから、「厄が返る」と考えられ、よくないと見なされたようです。

とは言え、引っ越しに関しては辞令などでやむを得ず…というような状況も起こりえます。

引っ越しの前には必ず身の回りの物を整理し、清掃を行いますから、「今まで溜まっていたものを捨て清める」と捉えてはどうでしょうか。

厄年は、身を清め、言動を慎む年です。引っ越しによって、徹底的に今まで溜まった家の中の埃や汚れを清め、気持ちを新しくする、という考え方も可能です。

③転職

悪いことが起こりやすく、身を慎んだほうがいいというのであれば転職は?と思われるかもしれません。
転職は、引っ越しと同じく職を「変える」と言い換えることもできます。

男性は前厄・後厄を含め、41歳~43歳が厄年です。女性に関して言うと、30代の大半が厄年になります。

厚生労働省の統計によると、この年代の方々の転職理由は[その他の理由(出向等)]を除き、下記が多いです。

男性(40~44歳) 女性(30~39歳)
1位 労働時間・休日等の労働条件が悪かった(12.6%) 労働時間・休日等の労働条件が悪かった(13.75%)
2位 会社の将来が不安だった(11.2%) 定年・契約期間の満了(11.65%)
3位 職場の人間関係が好ましくなかった(11.1%) 給料等収入が少なかった(10.85%)

仕事は、実際の自分の生活に大きくかかわる部分であるだけに、労働条件の悪さや将来性、給料の低さから、転職を考えるという傾向が伺えます。

女性の2位である「契約期間の満了」に関して言うと、継続して働く必要がある場合、転職以外の選択肢は基本的に望めません。

厄年でなくとも、悪い労働条件での働きすぎや、収入が少なく生活を切り詰めることによって、体調を崩すことも充分あり得るでしょう。

Keyさん

人間関係のストレスから鬱になるようなケースも考えられます。

また、同じ厚生労働省の統計では、転職後の給料の増減に関して、以下のようなデータも出ています。

30歳~34歳 35歳~39歳 40歳~44歳
増加 44.7% 39.5% 41.4%
変わらない 24.4% 30.2% 31.7%
減少 29.2% 29.6% 24.3%

この数字は、男女合算ですし、あくまでも目安にしかなりません。
とは言え、この年代の人達の転職においては、給与が増加している人達の割合が全体的に一番多いことが分かります。

この記事に転職を勧める意図は一切ありません。

ただ、これらのデータから、必ずしも厄年にあたる年代に転職をすることがマイナスにしか働かないかというと、そうではないだろうと言えます。

人生において、仕事とは長く付き合っていかなければいけません。
厄年であってもなくても、転職を決めるというのは大きな決断です。

ご家族や、何よりご自身にとって最良の選択なのかどうか、自分にとって仕事をする上で、何が大切なのかと向き合うことが大切です。

一つ確実に言えることは、若い時と比べて体力が衰えたり、新しい環境に適応するのに時間がかかったりするということ。
それが故の無理をし、体調を崩しては元も子もありません。

転職をし、新しい環境に慣れるまでのストレスを軽減する工夫は必要です。

④贈り物

「厄落とし」という風習もあります。

「厄落とし」というのは、自分が常に使っている物を敢えて落としてしまい、身代わりになってもらう行為です。
または、大切な物をわざと失うことによって、将来起こるであろう厄災を先に終わらせてしまうというのも「厄落とし」です。

それ以外には、自分が抱えている厄を周囲の人に少しずつ引き受けてもらい、いずれ自分に降りかかる厄を小さくするという方法もあります。
その場合には、前もって人に物を配ったり、食事を振る舞ったりします。

いくら厄が小さくなるからと言って、悪いことが起こるのは嫌ですよね。

厄年の人から何か貰った場合には、スカーフ・ネクタイなどをお返しすることで災厄から逃れられると言われています。

厄年という大変な時期を乗り越え、長生きをしてほしいというところから、身につけられる長いものを送るようになりました。

それ以外にも、

・包丁やハサミなどの刃物類(厄を断ち切る。)
・7色の物(身につけると厄除けになるとされている。理由は諸説あり。)
・蛇の鱗を模したアイテム(蛇は脱皮をすることから、再生の象徴。また、災厄から脱皮するとも。)

などを厄年の人は貰うといいとされています。

結局のところ、厄年はどうするべき?

ここまで読んで、

「結論から言って、厄年に何をすべきで何をすべきではないの?」

と思われた方もいるのではないでしょうか。

そもそも厄年というのは、古くは「源氏物語」(平安時代)にまで遡れ、日本人の多くが知っていながら、地域差や時代の変化などもあり、明確に実態を説明することが難しい風習の一つです。

ただ一つ言えることは、前厄・後厄を含め、厄年だとされている年齢は、統計的に見ても、人生においての様々な変化や、ライフイベントが起こりやすい年だということです。

また、医学的にも体調の変化が起こりやすい時期だと言われています。加齢に伴う体調の変化や体力の減少などで、今まで効いていた無理が効かなくなることもあるでしょう。

結果、厄年に

やるべきことは、自分を労わること。
やってはいけないことは、自分をおろそかにすること。

ということです。

①結婚・出産
②家を建てる・引っ越し
③転職

これらは、すべて新しい環境に人生が大きくシフトする出来事です。

そもそも人は、「現状維持バイアス」と言って、今まで慣れ親しんだ環境を保ちたいという心理が無意識に働く動物。

環境の変化や、新しい生活に馴染むまでには、心理的負荷がかかります。

新しいことを始めるだけでも精神的な負担が大きいのですから、環境に適応するまでストレスが続くのは、当然のことです。

ストレスによって体調を崩してしまったり、イライラすることで人間関係が悪化したり、と言ったことも起こりやすくなるでしょう。

そんな状況下では、少しでも自分がリラックスできることをするのが大切です。

Keyさん

忙しさにかまけて、自分のことを蔑ろにしないでください。

大切な人や親しい人と集まり、素敵なひと時を過ごすことで、少しでも不安を解消できるのであれば、充分に「厄落とし」を行う意義があります。

逆に人と集まるのではなく、ゆったりとした自分だけの時間を作り、自分で自分に優しくしてあげるのも有効です。

気持ちが疲弊している時には、仕事でもプライベートでも、抱えている問題に対して建設的な解決策を思いつけません。

今思い返せば、厄年の自身が辛かった時、私は私自身のことをきちんとケアしていませんでした。
もう少し自分で自分のことが分かっていたら、あそこまで辛い思いはしなかったかもしれないと今では思います。

辛い時には、何をすれば自分で自分が労われるのか。

時間が掛かるかもしれません。
けれど、自分とじっくり対話をし、自分のことを大切にできる方法を見つけてください。

まとめ:厄年は本当に悪い年?

事実を言えば、全員が全員厄年に悪いことがあるかというと、そうではありません。

例えば、手相占い師の島田秀平さんは、ご自身のYou Tubeチャンネルで、厄年に大役を得て大躍進した俳優さんたちの紹介をされています。
(島田秀平のお開運巡り https://www.youtube.com/watch?v=nTHwpGxKkn 参照)

また、厄年新役説というのがあり、厄年は「役年」であり、神事に奉仕するための役を与えられた年だったという考え方もあります。

厄年だからと言って、必ずしも不幸にはならないのです。

それでも、これだけ日本に根付いている「厄年には悪いことが起こる」という概念に、不安を覚えるのは当たり前のこと。

どうしても、不安が拭いきれない時には、神仏に頼ったり厄落としをしたりしましょう。
実際に行動を起こすことで、何かあった時には

「祈祷してもらったから大丈夫!」
「厄落とししたから大丈夫!」

と、心の負担を軽くするための自己暗示に使えます。

厄年であろうがなかろうが、一番大事なのは「あなた」が「あなた」でいられることです。

生きていく中で難事には必ず遭遇します。

Keyさん

古くからあるしきたりやルールは、人が生きていくうえで長年培われてきた生活の知恵なのだと思い、ご自身の気持ちを安らげる手段として上手に活用してください。

「厄年」に一番やるべきことは、無理せず、自分なりの快適なライフスタイルを模索することではないでしょうか。

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