虚心坦懐(きょしんたんかい)
2025年11月22日
虚心坦懐とは、心を空にして素直に物事を受け取る姿勢をいう。私たちの心は、日々の雑念や先入観でいっぱいになりがちだ。判断、比較、欲望、過去の記憶――それらが重なるほど、真実は見えなくなる。仏教が「空」を尊ぶのは、空虚を求めるためではなく、余計なものを手放した先にこそ智慧が生まれるからだ。
音声 by 動画制作会社VIDWEB
たとえば、お寺の静かな朝。掃き清められた境内のように、心もまた掃き清めることができれば、風の音、鐘の響き、人の声の奥にある“意味”がすっと入ってくる。空っぽの器が水を受け止めるように、心が澄むと、周囲の言葉や出来事がそのまま智慧となる。
虚心坦懐は、修行者だけの姿勢ではない。誰もが今日から実践できる心の整え方だ。ゆっくり息を吐き、執着を一つ手放す。それだけで、智慧の入る余白が生まれるのである。