利他行
2025年11月24日
音声 by 動画制作会社VIDWEB
利他行とは、「自分を後まわしにすること」ではなく、
自他ともに喜びが生まれる道を歩む心の姿勢である。
しかし人間には、ふとした瞬間に湧き上がる羨む気持ち、
胸をわずかに刺すような妬み、
そして積み重なれば憎しみに変わる感情もある。
これは弱さではなく、人として自然に起こる心の波である。
大切なのは、湧き上がった感情を「悪い」と押し込めるのではなく、
気づきとして受け止めること。
羨望や妬みは、実は「自分もそうありたい」という願いの裏返しであり、
その願いを静かに見つめれば、苦しみは和らいでいく。
仏教では、利他の心を育てると、
内側の憎しみや妬みは自然にほどけると説く。
人に優しい言葉をかけるとき、
誰かの役に立てたと感じた瞬間、
自分の心も温かくなるのはその証である。
利他行とは、他人のための道でありながら、
実は自分の心を和らげ、自由にする修行でもある。
小さな善行をひとつ積むたび、
羨望は喜びへ、妬みは応援へ、憎しみは赦しへと変わっていく。