無住心
2025年11月26日
「無住心」とは、心がどこにもとらわれず、何ものにも引きずられない境地をいう。
執着とは、心が何かに“住みつく”ことである。
「こうでなければ」「手放したくない」という思いが強くなると、心は硬くなり、視野がせまくなる。

音声 by 動画制作会社VIDWEB
毎朝、圓明院の大梵鐘の中で響きを聴くと、音が消えた瞬間に深い静寂が訪れる。
その静けさは、“何もない”のではなく、“余計なものがない”自由そのものだ。
私たちもまた、心の中にある雑念の住処を一度空けてみたい。
怒り、嫉妬、後悔、願望……
どれも大切な経験ではあるが、握り締めすぎれば苦しみとなる。
無住心は、捨て去ることではない。
来たものは受け入れ、去るものは追わず、水の流れのように自然に任せる柔らかさである。
心がどこにも住まなくなった時、私たちはようやく本来の自由に触れる。