圓明院
【よもやま】あの世を信じない世代へ
2020年09月20日

 あの世があるなんてあまり信じる事ができないという日本人は、かなり多いあの世を信ぜず、この世のみを信じる。あの世での人間の生活を信ぜず、この世でのこの世の富や名声のみを信じる。それは結局、この世の自分の生命だけを考えて、後のことは考えないということです。来世を失った人間にとって、もはや生きている人生のみが価値のあることであり、短い人生に欲望を満たそうとするのは当然のことです。

 宗教は、キリスト教や仏教や他のものでも、あの世を肯定しています。あの世の生活がある事を前提として、この世の生活を改める努力をしますし、また、この世に戻ってくることを信じてこの世の行いを改めるのです。

しかし、あの世を信じなくなった文明は、極端な表現をすると、この世をできる限りの自己の欲望を満足させるために猛獣のごとく駆け回ることに成りかねないのです。

 キリスト教は、地獄と天国 仏教は地獄と極楽 悪いことをすれば地獄に落ち良いことをすれば天国や極楽へ行けるという教えは数々ありますが、魂は永遠であり必ず戻ってくるということです。

日本人の古来からの魂観は、遺骸から抜け出た魂は、ややしばらく付近にとどまりやがて先祖の本へ還り、また時期を経て子孫の体に宿り戻ってくるというのです。

 自分の魂が、子孫親族の体に戻ってくるのですから、人をいじめたり、苦痛を与えるようなことをしたら、今度は自分が戻ってきたときには自分がいじめられる側になるかも知れません。このように私たちは、多くの人々と関わりの中で生き、多くの方々に少なからず関わって生きているのです。

 魂の帰還には、人間世界の時間の流れとは異なり、あの世の一日がこの世の十年とも言われますので、あの世に一ヶ月ほど滞在するとこの世に戻ってくると三十年の歳月が経っています。もう少し遅い人もいるようです。
 
 先祖の魂やとりわけ私の魂が戻ってくる後生の人間環境や自然環境も整えなくては成りません。人には、それぞれの才能があります。自分の持てる才能を生かし、後生の魂の帰還する環境をよりよいものにしたいものです。

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