【よもやま】白隠禅師 語録より
2020年11月08日
三合の病いに八石五斗の物思い
世に智慧ある人の病中ほど、あさましく、物苦しいことはなきことなるぞや。来し方、行く末のことなども際限なく思い続け、看病人の好悪などをとがめ、旧識同伴の間闊を恨み、生前には名聞の遂げざるを愁え、死後は長夜の苦患を恐れ、目を塞ぎて打臥し居たるは、殊勝に物静かなれども、胸中騒がしく、心上苦しく、三合の病いに八石五斗の物思いあるべし。
知識ある人こそあれこれと、心配を重ね終いには、看病人や医者にまであれこれと難癖をいいたがるものです。
三合は500ミリリットルくらいで八石五斗は1500リットルくらいですので、病を憂う思いは3000倍ということになります。
「八石五斗の物思い」で病気も治らず、かえってほかの病を患いそうです。成るようにしか成らないと覚悟を決め病人になりきり生活を楽しむくらいの心持ちになれれば心の煩いも軽くなることでしょう。
しかし、人というものは中々この諦める覚悟ができないものです。座って半畳寝て一畳とはいっても、広い個室をほしくなるものです。病床の床につくことを楽しむ覚悟ってのも難しいですよね。